コーチの眼力も能力である。
二人の選手がいる。
同じチームに所属して汗を流している。
共にガードである。
一人は、コーチの話もうわの空、練習も鼻歌まじりで朝練など絶対しないが、
シュートは上手いし能力は高い。
もう一人は、バスケットボールが好きでたまらない。
練習命と思いこみ、人の倍練習するバスケ馬鹿だが、能力は低い。
勿論コーチは能力の高い選手を使う。
よくシュートを決め活躍してくれる。
しかし試合は勝てない。
一度ではない。
何試合しても勝てない。
能力の高い選手が試験の都合で試合に来れず 、
コーチは能力の低い選手を使わざるを得なくなった。
コーチは敗戦を覚悟した。
ところが、出足こそ不味いプレーが重なってリードを許したが、
徐々に追いつき追越していく。
5人の選手動きが良い 、連携プレーもドンドン決まる。
久方ぶりの勝利で選手たちは大喜び。
コーチは首かしげるばかり。
次の試合、能力の高い選手も戻って来た。
コーチがガードをどちらにするか選手は注目した。
能力の高い選手がスタート。
チームの動きはぎこちない。
活躍するのは能力の高い選手だけ。
チームは負けた。
誰が言ったか知らないがこの指一本では辛いが、
五本の指を握り締めると拳になり強く負けないよ。
眼力も身につけることが必要だ。